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皆様、エアコンの調子はどうでしょう?風が弱くなったり、冷風が出なかったりしていませんか?夏を迎える前に、シーズンイン点検をしてみてはいかがでしょう。ここでは簡単にエアコンの原理を皆様に知って頂きたいと思います。

エアコンの基本原理
 よく、病院などで注射をする前に脱脂綿で消毒されます。その時、冷たいと感じませんか?これは、液体のアルコールが、体温などで暖まり気化することにより、熱が奪われるからです。エアコンの原理もこれと同じです。液体のエアコンガス気体のエアコンガスに変化するとき、冷たくなる(熱が奪われる)からです。また、高い山の上で水を温めると80度くらいで沸騰する事があります。これは気圧(圧力)の変化気体と液体の沸点の変化があるからです。この気圧(圧力)の変化を利用して、液体から気体気体から液体へと変化させています。

エアコンガスの状態
 高温高圧、液体のエアコンガスがあったとします。高温高圧、液体液体のガスを霧状にして気化させます。圧力が下がり、液体から気体に変化し、熱が奪われ、冷たくなります。(室内側のユニット内)
 
低温低圧気体の状態から今度は圧縮をします。圧力が上がり、気体の温度も上昇します。高温高圧の気体のエアコンガスをファンなどで冷却します。熱が奪われ、高温高圧の液体のエアコンガスとなり、最初の状態となります。(エンジンルーム内)
 液体と気体の変化を圧力の変化で利用して、熱を室内から、室外へと放出しているのがエアコンシステムと言う訳です。

フロンを使用する理由
フロンガスを使用する理由は気化しやすく、液化しやすい、不燃性、腐食性が少ない、油類に対しての融解性がある。と言う点で優れた物質である為、現在も利用されています。
 しかし、フロンガスは大気中に放出されると長い時間をかけて成層圏に達し、そこで紫外線によって分解されてオゾン層を破壊する。(旧フロン R-12)そのため使用が規制され、代替フロン(新フロン R134a)が登場したが、こちらも二酸化炭素よりも温室効果が高いことがわかり規制の対象となっている。現在はR-134aに代わり、R-1234yfが搭載されている。性能はほぼ変わらず、温室効果も低いが、わずかに可燃性があり、若干の危険性もある。また、ガス本体の価格も高く設定されている為、容易に交換、補充はユーザーの負担になります。

今後のフロンガス
現在開発のフロンガスと言っていいのか不明ですが、環境を汚さないクリーン冷媒を開発中みたいです。成分は二酸化炭素(CO2)、アンモニア(NH3)、 ハイドロフルオロオレフィン(HFO)等 でエアコンを構成出来ないか検討中みたいです。HFOは水素、フッ素、炭素で構成される不飽和有機化合物でR-1234yfの上位互換を主体とした成分です。
2050年頃までに完全に入れ替わる予定みたいですが、どうなんでしょうと言った所です。


エアコンの各部品

コンプレッサ
エンジンに取り付けられ、ベルトで駆動しています。最初はコンプレッサは空回りしています。エアコンを入れると、電気式のクラッチが働き、コンプレッサが回りだします。作動は低温低圧の気体のエアコンガスを圧縮し、 高温高圧の気体のエアコンガスにします。
最近はハイブリッドなどの登場により、エンジン停止状態でも、回転可能な電磁モーター式のコンプレッサや電磁クラッチのない可変容量式もあります。しかしながら、消費電力の使用量は格段に増えています。ハイブリッドで夏場、燃費が下がる大きな要因もあります。また、
ハイブリッドではモーターを回転させるため200V近い電力で回しています。よって、使用するオイルは電気を通しにくい特殊なオイルを使用しています。


コンプレッサ が故障する主な原因
コンプレッサの中にはコンプレッサオイルがあります。オイルはガスと一緒に混じってサイクル内を循環します。サイクル内に詰まり等が起こるとコンプレッサ内のガスが無くなり焼き付いてしまいます。最悪の場合はマグネットクラッチまで焼付いてベルト切れや異音といった症状もでます。また、アルミ同士が動いているため、細かいアルミ粉がサイクル内を循環する場合もあります。

コンデンサ
エンジン前部、ラジエターの前に電動ファンなどと一緒に付いています。作動は高温高圧の気体のエアコンガスを電動ファンなどで冷却して、高温高圧の液体のエアコンガスにします。

コンデンサが故障する主な原因

主な原因はフロント側をぶつけた時によるガス漏れや飛び石による破損等です。中にはパイプとの接触が弱い車種もあります。古くなった車は振動防止のゴム等の劣化による隙間等が原因のものもあります。

車両の取り付け場所によっては埃、ゴミ等で不具合が発生します。又ファンモーターの不具合も同様です。

レシーバ&ドライヤ
最近はこれがコンデンサなどと一緒になっているものやこれ自体がないものもありますが、エアコンのサイクル内のごみ、水分などを取り除きます。よく、エアコンを使う人は定期的に交換しなければならない部品です。この中がいっぱいになると、配管のつまり等の原因となります。

レシーバ&ドライヤが故障する主な原因
この中には水分等を取る活性炭が入っています。また、フィルターの役目をしていて、コンプレッサーなどから出た、アルミの粉を取り除いています。構造上、すべてを取りきっている物ではないので、(流れを悪くする為)目が細かい物やすべて取りきれない物はスルーしてエキスパンション内へ行ってしまう場合もあります。

エキスパンションバルブ
車室内の助手席グローボックス奥にエバポレーターと一緒に付いています。ダッシュボード中央付近に取り付けられている場合もあります。簡単に言うと絞り弁又は霧吹き。高温高圧の液体のエアコンガス低温低圧の液体のエアコンガス(霧状)にします。

エキスパンションバルブが故障する主な原因

高温から低温へ変化する為、もっとも壊れやすい部品の一つです。又、絞り弁が付いている為、レシーバーのゴミが詰まりやすい部品。ガス漏れの原因の時もよくあります。

エバポレーター
低温低圧の液体のエアコンガス(霧状)が熱を奪われ、低温低圧の気体のエアコンガスになります。

エバポレーターが故障する主な原因
エバポレ―ターはそのほとんどがアルミの板をつなぎ合わせて作ってあるので、振動等で隙間が出来てしまうものと思います。隙間の大きさも様々で見た目だけで判断できない場合も数多くあります。温度などで大きさも変化するので判断も微妙なときがあります。

そして、一番の原因のひとつに車内の異臭や匂いの根本となっています。エアコンフィルターで定期的に交換していない車両の場合やフィルターの無い車両はこの部分でほこりを受け止めてしまいます。また、定期的にフィルター交換していても、すべてを除去できる訳でもないので、ほこりによる匂いが数年すると吹き出しから出ます。

最近のトレンド

ハイブリッド車、アイドリングストップ車などが出て来た為、常にエンジンを回す事自体が減っている為、止まっている時でも冷える様にエバポレーターの間に蓄冷剤を入れ込んだ物が登場しました。冷却効果は減りますが、涼しい風が維持できる程度になっている様になっています。

コンプレッサに戻る
このサイクルの繰り返しです
 

エアコンガスの変化

部品
ガスの状態
コンプレッサ
低温低圧の気体のエアコンガス
↓ (圧縮)
高温高圧の気体のエアコンガス
コンデンサ
高温高圧の気体のエアコンガス
↓(冷却)
高温高圧の液体のエアコンガス
レシーバ&ドライヤ
高温高圧の液体のエアコンガス
エキスパンションバルブ
高温高圧の液体のエアコンガス
↓(減圧)
低温低圧の液体のエアコンガス
(霧状)
エバポレーター

低温低圧の液体のエアコンガス(霧状)

低温低圧の気体のエアコンガス
(気体)

コンプレッサへ
 

上記の矢印のサイクルで常に循環しています。 通常、エアコンガスは減ったり、無くなったりしません。ですので、エンジンオイル交換のようにエアコンのガスを交換しても無駄です。冷えない原因はガス漏れだけではなく、様々な原因があります。基本、エアコンガスが無くなると圧力センサーが働き停止させます。この他にも、エアコンを制御するコンピューターや、電動ファン、サーモスイッチ、内気、外気温センサ、などなどいろいろな電気関係の部品で構成されています。どの部品が壊れても、働くなります。もちろん、ガスが抜けもその一つです。どの場所がガス漏れしているかは点検して解りますが、見えにくい場所や漏れかごく僅かの場合、判定できない場合があります。

エアコンが効かなかったら?(故障を広げない為の対策)
エアコンのスイッチA/Cを入れないようにしましょう。 ブロアモータを作動させて風は出しても構いませんが、冷えが悪かったらA/Cスイッチを切って、入れないようにしましょう。A/Cスイッチを押しているとコンプレッサが誤作動で入りっぱなしで、焼きついたりする恐れがあります。

A/Cランプが点滅する場合は?(故障を広げない為の対策)
大半はコンプレッサの不具合が考えられます。別の部品の場合もありますが、A/Cスイッチを入れないようにしましょう。

風が弱い場合は?(故障を広げない為の対策)
モーター、抵抗、吹き出し口のつまりが考えられます。最近の車両はフィルターのつまりもあります。 基本的に風も、A/Cも入れない方が得策です。我慢出来ない場合は外気導入で外気の風を入れるか、作動する部分でのみの作動とした方が良いでしょう。


修理例 その@ ワゴンR ブロアモーターの風が弱い
状況
 エアコンの冷えは悪くないのだが、出てくる風が風量をMAXにしても、内気循環にしても、風の吹き出し口を変えても、弱い。ヒーターも同様。 
原因
 風の流れは内気なら助手席足元から、外気なら助手席側のエンジンルームから風を取り入れます。
 この時、ゴミやホコリ等も一緒に吸い込みます。最近の乗用車や高級車にはフィルターを介して、エバポレーターやヒーターコアを通りますが、ワゴンRなどの軽自動車などはフィルターが無い為、ゴミやホコリがエバポレーターを通ります。
 小さいホコリなどはエバポレーターのフィンを抜けて出て行きますが、大きいゴミはエバポレーター内のユニット内に溜まっていきます。
これが風量が弱くなった原因です。
修理方法
 
今回はしっかりと直して欲しいとのお客様のご要望なので、エアコンのガスを抜いて、ユニットを脱着し、エバポレーターに付着したゴミを取り除いております。
 上が作業前、左が作業後の状態。
 画像では分かりずらいかもしれませんが、作業後のエバポレーターはアルミのメッキが見えているのがわかりますのでしょうか。
ついているゴミは主に綿ぼこりが溜まった状態です。
  室内用のエアコンには、ここの前に網目状のフィルターなどがよく付いているはず、自動車にはこのフィルターがついていないものが結構あるのです。動物を車内で放置している方はここに毛などもたくさんつきます。このお客様は動物を車内に入れていないようですが、車はそんなにきれいな状態とは言えなかったです。まめな室内清掃も長く乗る秘訣かもしれません。
自動車のフィルタ
 最近はメーカー側もフィルタを設定している車が多いです。フィルタにごみと共ににおいも溜まるので、エアコン使用時ににおいが出るような車両なら交換するのも一つの手段です。設置場所は助手席グローボックスの奥にあることが多いので、多少車をいじれる方なら2、3年に一回は掃除もしくは交換してみてはいかがでしょう?
 ご自分で出来ない方でも当店にお越し頂ければ、すぐに点検、清掃、交換を行います。

 

修理例 そのA インパネ脱着 ハイエース
状況
 エアコン(コンプレッサ)が動かない。エアコンのガス漏れ。エンジンルーム内にガス漏れの形跡無し。室内側のエバポレーターのガス漏れ

原因
 製品自体はアルミの板を張り合わせて、ガスの通る隙間を作り、何本か縦に置き、その間をアルミの冷却用フィンで作られている構造です。アルミの張り合わせなので、熱の収縮による隙間が出来て、ガス漏れとなります。また、劣化によるパッキン隙間の漏れ、アルミ自体の穴開き等も原因です。

※参考写真はその@と同様のほこりによる風が弱いですが、ガス漏れも非常に多いので、画像として使わせて頂きます。

修理方法
 今回はエアコンのユニットが中央にある為、助手席からユニットを取り外す事が出来ません。よって、ダッシュボード周辺の部品をすべて取り外し、エアコンのユニットを取外します。画像を見れば分かりますが、メーター、オーディオ、ハンドル周り、周辺配線、すべて外します。作業時間は慣れたサービスマンでも約1日以上。料金の半分以上は工賃になってしまいます。


エアコンうんちく

R12とR134a&R1234yf
いわゆるフロンガスと言われるものです。よく言われるのが環境破壊の申し子みたいな言われ方、扱い方をされます。ちなみにR12は世界的に製造、販売が禁止されているようですが、一部の発展途上国が闇で製造しているとか、していないとか言われております。基本的には数十年前に製造したものを在庫しているていてそれを使っているのが現状です。2015年から当店ではR12対応フロンのR-SP34Eを使用しています。どうしてもという方のみ、R12をいれております。
R12は環境を破壊して、R134aは環境を破壊しないのかというと、それはそうでもないようなお話を聞くことがあります。現に当店でもR134aを回収して使用しておりますので・・・・。結局はフロンは必要悪みたな所はあります。現在研究しているエアコンのガスは二酸化炭素を使用した物を研究しているそうです。これならガス漏れしても環境破壊にはならないそうですが、そもそも二酸化炭素までも悪者扱いしている昨今ではいかがなものだろうかと・・・。しかし、二酸化炭素冷媒のエアコンシステムはまだまだ、課題が多いようで、ガス冷媒の充てん量を適量入れないと冷えない。少しでも量が変化すると冷えない。コンプレッサの圧縮比が高い為、コンプレッサが大型化&故障が多い等々難しいようです。しかし、早く実現して欲しいとも思います。最近はR134aに変わるR1234yというガスが出てきました。詳細な内容は分かりませんが、色々なサービスツールが出てきているので、設備投資が大変です。

2017年以降の新車はR1234fyのガスが入っています。 R134aに比べオゾン破壊係数 および地球温暖化係数が低く、地球環境に極めて優しい冷媒です。 わずかに可燃性があるとの事なので、火気には十分注意です。まだ、価格は恐ろしいほどの高値のガスです。どうやら、特許等の問題で、一社独占状態みたいです。当店でも、在庫するがどうか迷っています。

車内のにおい
どんな車、家でも新しいものには独特のにおいってしませんか?新車(新築)の香りだとか言って喜ぶ人が多い中、あまり、いいにおいだとは思わない時もあります。それは当然といえば当然で、新しいものには接着剤、石油製品の匂いが残っているからなんですねぇ・・・。においを除去する装置も最近の高級車から付き始めたようですが、人間が生活する以上、匂いはつきまとうものだと私は考えます。よくいるお客様に芳香剤をこれでもかってぐらいに匂わせている方がいます。特にお水系のお客様に多いように思えます。それに関してはなんともおもわないのですが、大体そうゆうお車は土足禁止が多いので困りものです。よく、靴を置いて走ってしまうこともしばしば・・・。匂いの判断って、機械的な計測では出来ず、人の感覚の部分が大きいように思います。同じ匂いでもいいにおいと思う人もいれば、嫌なにおいと思う人もいる。匂いの大、小も人の感覚。同じ匂いの所にずっといれば、慣れて感じなくなったりもします。結果から言うと感覚で左右される修理は難しいのです。結果、匂いを匂いで消すって事が多いです。市販の消臭剤も同じ様な事をしていませんか?無臭って難しいですよね。

蛍光ガス
当店ではよく、ガス漏れが分からない時、短時間ですませたい時は蛍光ガスなるものをお客様に勧めさせて頂いております。完全にエアコンガスが無くなれば、ほぼ100%発見出来ますが、問題はエアコンガスが少ししか抜けていない時。厳密にはお客様は蛍光ガスを入れて、「じゃあ、明日か明後日に車持ってくればわかるよね。」って言われます。「いやいやいや・・・。」そんなに早く持ってきても分かりませんから・・・。だいたい、明日、明後日に抜けるようなエアコンのガス漏れなら、蛍光ガスは使いませんから・・・。「じゃあ、2週間後ぐらい?」はっきりいってそれも正解ではないです。基本的にエアコンが効かなくなるまで乗って下さい。というのが本音です。ちなみにエンジンルームもその間は洗わないで欲しい・・・。(たまにいます。)エアコンのガスって無色透明ですから・・・。ちなみに濡れた様な跡はコンプレッサオイルの跡ですから、蛍光ガスはこのコンプレッサオイルに蛍光系の着色をして見るのです。オイルが少ないと・・・漏れても分からない時があります。ですから、効かなくなるまで乗って頂きたいのです。

ほこり
よく注目されるのが、修理例にもあるようにほこりに関する所。ほこりは室内で活動(運転等)しない時は下に溜まります。そこにエアコン等室内の空調を入れると、空調の吸い込み口である足元から溜まったほこりが吸い上げられます。メーカーはなぜ、何もここに注目しないのかなあとたびたび思う事があります。吸い込みを上の方に作ればとか、ほこりが吸い込みずらい構造等にしないのかと常々感じております。あえて言うならそれがメーカーの「誇り」だからか?なんちゃって・・・。内気循環は助手席の足元だけど外気循環はというと、ワイパーの軸の部分に網目状のプラスチックがありませんか?車両によって違いますが、大体、あの部分が外気循環の入口です。そこの部分によく、葉っぱとか、ゴミが溜まってませんか?最悪は杉の枝とかが乗っている時ですけどね

エアコンオイル
 エアコンの修理をする時に時々お客様に言われるのがこのオイルを入れた方がいいのか?とか交換しなくていいのと言った所です。基本的にはオイルはオイル漏れ等しなければ補充、交換をしなくて良いのです。エアコンサイクル内でオイルが必要な部分は、実はコンプレッサの圧縮部分の部品のみなのです。
 では、エンジンのオイルは何で変えるの?というと空気を取り入れて、ガソリンを燃やしたり、吸気、排気を繰り返すので、ほこりやゴミ等がオイルに混ざるし、エンジンの熱で蒸発など等で減るから。エアコンのオイルはゴミ、ほこりは入らないの?実は同じ経路を循環しているので、基本的には減ったり、ほこり、ゴミが入らないので、交換は不要という事です。それでもコンプレッサなどの回転している部分は摩擦が発生しているので、細かいアルミの粉が出てしまいます。このアルミ粉の除去するものがレシーバです。レシーバーもアルミ粉を取るのには限界がありますので、一定期間使用したものは交換を推奨しています。
 エアコンサイクル内でオイルを必要としている部分はコンプレッサのみです。ガスが少なかったり、ほこり等がサイクル内を循環していると異常摩耗をコンプレッサ内で起こし、アルミ破片等のゴミがサイクル内に発生します。これがつまりの原因です。オイルはコンプレッサ内に留まらず、ガスによって、サイクル全体を回っています。ですので、ガス漏れを起こした時、ガスと一緒にオイルも抜けます。我々サービスマンはこのオイル漏れを判断して、ガス漏れ箇所を見つけます。
 エアコンのオイル補充はエンジンオイルの様に定期交換しないでください。意味は無いですから、スタンドの推奨するコンプレッサオイル交換&補充より、レシーバ交換の方が効率的です。それでも正常作動なら、意味のないぐらいなのですから。

エアコンの電気消費量
エアコンは電力消費の最も高い部品です。みなさんが知っている家庭用エアコンの約3倍の性能能力を有していると聞いた事がありますので、それにかかる電力も相当なものです。しかし、コンプレッサだけに関して言えばエンジンの駆動力でコンプレッサを回すので少し、電気の消費量は下がるのかなとも感じております。最近のハイブリッド車などはコンプレッサもモーター駆動のため、消費量は家庭用のそれよりも遥かに上だと思います。実際には家庭用のエアコンのように消費電力何Wと出すのは難しいのと、どれくらい使ったかなんて分らないので車種によって、どっちが上とかは分かりません。

コンデンサのほこり
砂埃の多い所にいく車両や、ほこりの多い場所で使用される車両はコンデンサにもほこりが貯まります。ほこりの多い所に行くのは大型車が多い為よく、コンデンサに水をかけて洗い流したりして冷えを解消してやることがあります。乗用車でもラジエターと並列になっているものや汚れているものなど風の抜けが悪そうな車両は見てみた方が良いかもしれません。コンデンサを冷却するファンが電動ではなく、エンジン駆動のカップリングファンが取付けてある車はカップリングが壊れて、冷却そのものがだめなものもあります。オーバーヒートぎみの車両は基本的にACを付けないようにしましょう。

モーター
ここでいうモーターはエアコンに関するモーター。何が一番使用頻度が高いかといえば、風を送りだすブロアモーター。次にコンデンサを冷やすファンモーター。この二つが最も消耗の激しい部品でしょう。モーターも長時間使用すれば、ブラシやベアリングにがたがきます。大昔はここのブラシやベアリングを交換出来たらしいのですが、最近はアッセンブリで交換しないといけません。たまに、ブラシだけ交換すれば直るんだろ!っていうお客様がいますが、無理なのです。どうしてもっていう時には、部品も何もお出し出来ることはありませんが、ご自分でどうぞというしかありません。

エアコンとヒーター
最近の家電製品にはエアコンとヒーターが一体が当たり前で、さらには除湿、空気清浄などの機能も付いている。車も同じだが、エアコンとヒーターは別物と思って頂きたい。エアコンはフロンを使い、ヒーターはエンジン冷却水を使う。だから、エンジンが冷えているとヒータも効かない。エアコンはエンジン始動ですぐ効くが、ヒーターはエンジン水温が上がるまでは効かない。一般的には一緒と考えるお客様もいますが、そこまでの内部的なものまで知らなくても、使用時には何の問題もない。家庭用のエアコンはエアコンサイクルを逆に循環させて、コンデンサ側のものを室内へ、エバボレーター側のものを室外へと循環させる。車両用は一方通行で耐久性を考えるとそこまで出来ないので、簡単なエンジンの水を利用して、室内に水を取り込み温風を送り込む。逆を言うとオーバーヒートしそうな古い車は夏でもヒーターを全開にすれば、多少持つことが出来るw

オートエアコンとマニュアルエアコン
最近の車両はどんな車種でもオートエアコンが付いている事が多いです。しかし、このオートエアコン、車種によって、制御や作動が統一されていない事が多いです。マニュアルは自分の好みに応じて、運転者等が操作しますが、オートは風量と温度調整のみの場合もあれば、風量、温度、吹き出し口の調整もする物もあります。運転者にありがちな落とし穴がデフロスターの存在。基本的にどのエアコンもデフロスターは運転者等が操作しないと入らない事が多いです。デフロスターって何?と言う方もいますので補足しますが、窓ガラスに走行中、曇りや水滴が付いたりしませんか?これを取り除くのがダッシュボードの上から出てくる風(デフロスター)なのです。リヤ側にも熱線が入っていて、ここに電気を通して、発熱して、曇り、水滴を取ります。リヤとフロント側が別々のスイッチもしくは操作が必要な事が多いです。オートだからデフロスターもオートで入るんだろ!って、いがいと付いていないんですよそんな便利な機能は。オートエアコンは外の空気の温度と中の空気の温度、日射量ぐらいで作動しています。ガラスの水滴、曇りの加減まで分かるセンサがあれば、見て見たい。湿度計のセンサが入っている車には、多少なりとも、制御する機能が入っているのかもしれません。要はオートエアコンでも、万能ではないと言う事です。
時々思うのは、ヒーターは基本、足元から出て、エアコンは上から(フェイス)から出て来ます。これが、ヒーターだと足より体をまず温めたいとか、暑い時は足の汗がシートに付くのが嫌なので、足から出したいなど、オートのシステム的に無理な要求をオート化してくれないかなと思う事です。学習機能とかメモリー機能とか運転者の癖をメモリーとして追加させて向上させたらもっと、良いエアコンシステムが出来るような気がします。
まあ、家のエアコンも学習しないなと思う事があるので、一緒ですけどね。

レシーバー
 レシーバーは水分とホコリを取るフィルターだと言いました。補足として、一部の外車や国産車にはこのレシーバーが付いていない車種もあります。これはメーカーがガス漏れ、コンプレッサの摩耗片などが出ないと言う自信の表れでもありますが、整備する側としては、絶対壊れないという確信はあり得ないので(実際に壊れています)搭載して頂きたいとも思います。
 レシーバーの中身は水分を取る活性炭と布状のフィルターの場合が最近では多いです。最近のエンジンオイルフィルターもろ紙とパッキンだけとかが多いですね。あれと一緒です。でも、交換は結構めんどくさいです。コンデンサとか外さないと取れないのもありますから…。ちなみに昔のはグリルを外せば交換出来る物が多かったです。

エアコンのサイクル内は水分はNG
 エアコンのサイクル内は水分はNGです。理由はエアコンサイクル内に水分があると配管内で凍り、サイクルを詰まらせる。凍った時の膨張により、配管が壊れる等の不具合が生じるからです。ですので、新規にエアコンガスを入れる時には、 エアコン配管内の空気をしっかりと真空引きをして、空気中の水分も入らないようにします。
 サービスマンが作業する時にガス充填時にゲージの横からガスを少しだけ出しますが、あれも意味があります。エアコンガス缶とホース内には空気がまだ残っているので、その空気も出す為に少しだけガスを出すのです。無駄な作業ではありませんので、入れる時を見る時は確認して下さい。必ずやってますから。ちなみに補充時は配管内の圧力は大気より高いので、真空引きはしません。ただし、ホース内の空気はきちんと抜きます。

エアコンのコンピューター
 昔は単独でコンピューターが搭載されていました。中身もICやコンデンサ、トランジスタ等の内職のおばさんが作ったものじゃないのか?ぐらいのものもありました。現在では操作パネルと一体となったり、エンジンのECUと繋がっていたりと複雑になっています。それだけエンジン回転数などの情報を共有させて、無駄な部品を廃したり、システムを簡素化したりなどの統合が車の中で行われているのです。ですので、エンジンコンピュータの一部の回路が故障するとエンジンは止まらないがエアコンは止まる等の不具合もたまにあります。お客様でも納得頂けない修理がたまに発生するのは、関係のないような部品の修理でも実はエアコンの修理に関係する事があるという事です。基本エンジンは動かないと非常に困る事が多いので、非常用の仮作動するシステムが搭載されています。その時に走行に必要ない物はカットするという訳です。その作動カットする部分がエアコン関係がほとんどです。意外と気づかずにそのまま乗っていたりすると危険ですね。メーター内でランプは点灯しますので、注意してみましょう。

昔の修理でこんな事が・・・。
 
エアコンが効かないという事で、確認の為に室内で動かしてみると、想像もつかないような強烈な匂いが風と一緒に出てきました。この匂いの原因はブロアモーター内にねずみが入り込んだからです。しかも、運が悪いと死骸まで出て来る事があります。一体ネズミはどこから入り込んだのか、予想としては、外気循環の中からと、車室内から快適さを求めて、内気循環からの2ルートあります。通常ではありえない話なのですが、オーナーの話を聞くと、駐車場所が原因の事が多いです。その駐車場所は農家の元納屋だった所に止めていた、草の多く生えている場所に止めて、数か月動かさなかったなどです。まあ、小動物がいそうな場所の駐車は非常に危険というお話です。ちなみに他にも1BOXでコンデンサユニットが運転席足元付近に設置してあって、ユニットが下向きに設置してある車両でした。隙間があったせいもありますが、なんと鳥の巣らしき枝や葉っぱが上に乗っていました。当然、コンデンサーモーターは回らず、冷えない症状が出ていましたが、鳥の巣が出来ていたのは後にも先にもこの車両だけでした。どんな止め方放置の仕方で出来るのか不思議でした。

ハイブリッド用コンプレッサ
  最近のコンプレッサはベルト駆動ではなく、モーター駆動方式が出てきています。理由はハイブリッド車両の存在です。ハイブリッドは常にエンジンを回している訳ではないので、エアコン使用時だとエンジンを常に回し、燃費悪化にも繋がる為です。そして、ハイブリッド用のモーターは12Vではなく、ハイブリッドの駆動モーターと同じ200V用のモーターが使われています。オレンジ色の配線が主に200V用の電源です。この200Vの電源は非常に危険です。DIYでコンプレッサを交換しようとすると感電死します。素人がうっかり触ることのないようにお願いします。また、初期のプリウスはベルト駆動だった為に、エアコン使用時は常にエンジンを回さねばならず、燃費が非常に悪かったと聞きます。 電動式になっても、電力を使用するので、燃費低下は避けられない課題です。

エアコンガスのリフレッシュ交換
  よく、量販店、ガソリンスタンドなどで目にする作業項目です。しかし、専門店の私の目からみると?何これ?状態なのです。ガス不足の車両にガスを補充するでもなく、ただ、エンジンオイルのように入れ替える行為がおかしく思えます。フロンガスは無色、透明でオイルと違い、液体ではなく、室外に出すと基本、気体の物。汚れたり、劣化したりあまりしない。気体だから…。汚れるとしたら、コンプレッサ内のオイル。コンプレッサ内の磨耗した鉄粉を除去する行為が妥当だが、コンプレッサ内だけでなく、配管内に回っているものもきれいにしなきゃいけないのにガスの入れ替えでは到底出来ない行為。オイルの交換はコンプレッサを脱着して、出さないと難しいと思うし、オイルも一種類じゃない。ガス交換時にオイルも少々出てしまうので、繰り返すとオイル不足になり、逆に壊れる危険性や冷えなくなる可能性があるのになぜ?と思ってしまいます。
  まあ、少しでも売り上げを伸ばそうとしている行為なんだろうけど、スタンドで当店の女性社員もダイヤがダメですとかバッテリーがダメです。さらには数日前に交換したばかりのエンジンオイルを見て、オイルがダメですとか言う始末。スタンドの兄ちゃんの言葉を信じてはいけないと良くお客様にも言います。私服で普段行かないスタンドで入れていると何も知らないと思っているのか大体このような言動&行動を仕掛けてきます。お客をなめるなよ。量販店、ガソリンスタンドのエアコン関係の項目は無くして欲しいなと思う今日この頃。何故って、分からなくなるとケツをこっちに持ってきますから…。スタンドでこうゆう風に言われた。そして直らない。彼らの説明は大体、半分だけ合っていることが多いです。半分はウソ。信頼できるスタンドさんもありますが、大体こうゆう所は個人店系統のスタンドです。直営店系統は信頼出来ない。人の入れ替えも激しいですから・・・。

最近の車両
最近のエアコン修理は時間のかかる修理と、簡単に終わる修理の二極化が進んでいるように感じます。バンパーなどは昔の取り付け方に比べて、ビスやクリップ等で簡単に止まっていて、思ったよりも早く作業が終わったりします。逆に室内のユニットを外す時は、メーター、ラジオ、ナビを外し、電気配線、ダッシュボードを外し、やっとエアコンユニットを外すといった大掛かりな作業をしていきます。ある意味、定期点検できる作業や定期交換の部品は割りと楽で、他の作業をしようとすると、とんでも無い作業になる事が多いです。
  作業者の技量にもよりますが、経験上、ボルトやナットが目で確認出来る部分は、簡単に外れる。目で見えなくても、手で触って確認出来る所は、工具をうまく使えば、何とか外れる。目でも、手でも触れなくて、マニュアルや図面でしか確認出来ない部品は相当難しいという事です。外す部品が大きくて、ボルトなどは外れても、本体が出ないという事も多々あります。経験上、車両のグレードが高い車種、色々な機能、オプション類を取り付けた車両は色々な所が隙間がなく作られているので難しいです。建設機械などは小さい物ほど、コンパクトで作業しずらいです。

最近の車両2
最近の車両はエバポレーターに蓄冷剤 いわゆるアイスノンみたいな物がエバポレーターのフィンとエアコンガスの通り道の間に入っているそうです。蓄冷剤を入れる理由はアイドリングストップ車が多くなった為です。信号などで、車両のエンジンが止まるとエアコンのコンプレッサも止まります。ハイブリッド車は電動コンプレッサなので、走行中などでエンジンが止まっても問題ありませんが、アイドリングストップ車は電磁クラッチでエンジン駆動で回転するので、エンジンが止まると、エアコンも効かなくなります。その補助として、蓄冷剤で保管しようとの事です。昔のハイエースの運転席と助手席の間のセンターボックスの冷蔵庫がこの原理でした。どっちかと言うと保冷箱みたいなものですが・・・。この手の豪華仕様は無くなりました。昔のクラウンなどもリヤエアコン付きのが、シート後ろの真ん中にクールボックスみたいな物もありました。キャンプブームの再燃でこれらの仕様も再度装備される可能性は、なさそうですね。
今はクーラーボックスに冷蔵庫仕様のシガーライタ仕様の物があるので、こちらを使用する事をお勧めします。当店でも取り扱っています。サワフジ製エンゲルというものです。キャンピングカー仕様に埋め込む物、クルーボックスタイプ、トラック向けのセンターボックス用があります。

エアコンのキャップ
昔から エアコンのサービスツールを取り付ける部分にキャップが付いています。一般の方は勘違いしている方が多いのですが、このキャップはペットボトルのキャップのようにガスの漏れを止めているキャップではありません。 サービスツールを接続するカプラの保護が目的です。なので、漏れない様に思いっきり締めている人がいますが、無駄です。時々、サービスカプラのバルブ部分が壊れて漏れ出す事もありますが、キャップで漏れは防止出来ません。停止時で5MPa〜7MPa前後、作動時で10MPa〜15MPa前後です。仮に漏れ止めをこのキャップで止めたら、プラスチック樹脂なので、ネジ山が飛んで外れるでしょう。このキャップ、狭い所とかにも付いている事が多く、なおかつ硬く締まっていると外すのに苦労します。一応、ゴムが付いていますが、ゴムなしだと、ジョイントのピンを押して、キャップでピンを押して、ガス漏れを引き起こしていたとかもあります。

 

 
 


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2024年01月25日